このところ聴く機会があった(夏の夜の夢、宗教改革)メンデルスゾーンについて、前から思っていることを少し。
メンデルスゾーンって、確かに「夏の夜の夢」や「フィンガルの洞窟」、「バイオリンコンチェルト」など、非常に整った高い完成度の曲を残していますが、これらは「書けてしまう曲」であって、彼が本当に「書きかった曲」ではなかったのでは?と思います。
若いころ書いた「宗教改革」、「イタリア」が大きな番号であるのは、生前出版するのを認めなかったからですが、凡人が聴く限りはこれで十分、ほとんど完璧のように思います。でも自身はこれで満足せず、機会を見て改訂を進めていたようです。
メンデルスゾーンの改訂作業に関する解説はあまり目にしたことはありませんが、「イタリア」や「スコットランド」の改訂途中の稿の演奏を耳にしたことはあります。私の耳には、どちらも?でした。重々しくゴツゴツ、敢えて完璧な造形を崩して新たな次元を目指して苦闘してるような印象を受けました。
彼が本当に「書きたかった曲」は、「書けてしまう曲」とは全く違う精神世界の深淵を描いたような曲ではなかったのではないでしょうか?何と言っても、ベートーヴェンを崇拝し、大バッハを復活させたメンデルスゾーンですし・・・。
「宗教改革」にも満足できず「破り捨てたい位だ」と言いながら改訂を考えていたのは、「イタリア」、「スコットランド」よりも「書きたかった曲」に近い内容を持っていたからでは?という気がします。
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